大鹿靖明著の本を一気に三冊読んでみました。「ヒルズ黙示録」「メルトダウン」「堕ちた翼」。読み始めたら止まらない系の本ではあるのにタラタラと二ヶ月くらいかけて。しかもほとんどトイレの中で(苦笑)。
一番面白かったのはやっぱり「ヒルズ黙示録」。ライブドアを中心とした若者達が既得権益・権力者に対して臆せず次から次へと攻撃を繰り出すハチャメチャ感がたまらない。本の中ではホリエモンや村上世彰などのあのご時世をにぎわしていた中心人物だけでなくその周辺人物のキャラクターも見事に描かれていて生々しくあの時代が蘇ってくる。あのスピード感でよく二の矢三の矢を放てたたんだなぁーと。あの時代がもう少し続いていたら今の日本がここまで閉塞感のある感じではなかったのかもと同世代なら誰もが思うかも。ほんの少しだけ中期ビジョンを重視すれば良かったのかなー。自分も丸くなったなぁと。
「メルトダウン」は福島第一原発事故後、東電、官邸と経産省との間で何が起こっていたのかを丁寧な取材でまとめた良本。だけど、読み進めば進むほど、東電や官僚の無責任さとそれに対して自分たちが結局何も出来ないであろう無力さだけが募る。よく経済界が政府に期待出来ずに無力さだけが募るというけど、いやいや電力業界が経済界の中心にいると思うとどっちもどっちだと。これが本当に株式会社なのか、そもそもその必要があるのか正直よく分からない。多少官邸よりの記載にはなってるかもしれないけど、それにも増して東電という組織の不気味さだけが見事に醸し出されている。誰にこの居心地が悪さをぶつければいいのか・・・
最後に「堕ちた翼」。戦後最大とも言われるJALの倒産劇を描いたノンフィクション。マスコミが伝えた内容が断片的すぎたので全体のストーリーを見直すにはちょうどいいとは思うけど、登場人物のブランド志向というか表面的な小細工が全面に出過ぎてて泥臭さをあまり感じさせない倒産劇だと感じてしまうのは、結局は・・・と思うところがあるからなのかも。知るべき事実としては大切な出来事ではあるかもしれないけど、あまりとんがった物の見方をしなくなったのか、再上場を控えてるニュースなどを聞くと結局は予定調和的な感じというか、だからといって航空行政をどうして世界と伍して行くのかという戦略とかは全く感じられず、全体的にフーンという内容でしかなかったのかも。著者が悪い訳ではないのないのであしからず。