先日、実家に帰ったときに「ハゲタカ」というタイトルの本が自分の元勉強机の上に無造作においてあったので、そのまま持って帰ってきました。今週頭から時間を見つけては読んでみたら面白かったので紹介します。

ハゲタカ (上)

元新聞記者ということもあってか、丹念な時系列の取材メモを元に小説が構成されているので、かなり分かりやすい。特に前半戦は、不良債権処理で実際に何が行われていたのかどんな金融素人でも分かる書き方がされているので、これまで都合の良いように、国が悪いとか、銀行が悪いとか、ハゲタカが悪いとか、とマスメディアに好きなように洗脳されてきた人たちは、誰も損をしない仕組みで不良債権が処理されてきたことを知り、ちょっと愕然とするかも。(すなわち、何も知らない自分達が馬鹿を見るということ。)
主人公は、自分は企業再生のプロだと語る場面が多いが、実際には企業再生の泥臭いところはほとんど語られず、いわゆる一般的なハゲタカ、すなわち短期的な利益だけを追求するためにはどんなことでもするというイメージをぬぐい去ることは出来ない。小説なので後半は数人の登場人物の接点を無難にまとめたのもなんとなく残念。他の数名の主要人物にフォーカスを当てて別の小説で書いても良かったかも。
何はともあれ、資本主義の世界では、金と情報の流れの中心にいないと食べていけない事は再確認。
ハゲタカ (下)