なぜ日本で Paypal が流行らない?
残念ながら、日本とアメリカのお金に対する見方の違いはなかなか埋まらないと思う。 小規模でもいいので、既存の銀行振込のような手段より手軽に安く使えるしくみを長く続けられるような仕組みによって、徐々に浸透させていくことが Paypal のようなサービスを日本で普及させる鍵になるのではないだろうか。

アメリカでがんばりましょうに興味深いログが掲載されたので、久々にトラックバックして自分なりに考えを書こうかなと思う。
Paypalの仕組みは確かに日本では全く流行らない。その理由の1つには、コメントされているような日本とアメリカのお金に対する考え方の根本的な違いがあるだろう。
それ以外にも2つ程、理由があるのかなと思う。
1点目は振込みの利便性。
日本だと銀行のサイトとかATMには払い込み機能が当たり前のようについているけど、アメリカはついていないので小切手を送って送金するのが一般的。電信送金という仕組みが、小切手の発行・郵送ほど認知されていない、もしくはより簡単だと思われていないのが背景にあるのかなと思う。そこにメールアドレスだけで決済が出来てしまう仕組みが出来れば、これは簡単という話になったのだと思う。つまり、小切手で相手方住所に郵送する代わりに、メール「アドレス」に送るって感じ。日本のように相手方の銀行口座に送るって発想ではないのではと思う。
2点目は運用者側からの立場。(想像も含まれるのでさっぴいて読んで欲しい・・・。)
Paypalのような小額決済の仕組みは、真ん中でキャッシュをプールして、その金利だけで運用が出来てしまうアメリカだからこそ出来たって感じもする。
普通に銀行のトランザクションを肩代わりして、しかも利用者(送金側・受取側もともに個人の場合)の手数料が全くかからない状態でビジネスが周るとは到底思えない。とすると、キャッシュを預けてもらって、それを元手に得た金利が、このビジネスを始めた頃のPaypalの運転資金だったんだと思う。
例えば、500万人が100ドル預けて年間5%で運用できれば、2.5億ドルの稼ぎになるから充分。
Paypalでクレジットカードを使ってキャッシュプールをするときに手数料を取られるのは、キャッシュが数ヶ月遅れて入ってくる間のタイムラグ分の金利と、実際のクレジットカード会社に支払う手数料分だと思うので、この当たりの感覚は正しいのかなと思ってる。
しかも、利用者から見ると取引によりキャッシュは動いているけど、キャッシュそのものはPaypalの中だけで完結しているので、Paypal自身の運用資金そのものはユーザーが増えれば単純に増えるという図式が出来上がっている。後は、eBayに目をつけ、この世界でPaypalがほぼ独占的な地位を確保できたのも大きいかなと思う。
日本は知っての通り、金利ゼロなのでこのようなビジネスが成りたつことはまずない。日本だとネット銀行がその役割が近いんだろうけど、コンビニにATMを置いて手数料を取るか、実際には融資をして儲けるかしかない。
後は、ヤフーがPaypalと同じ仕組みを提供し始めたら、多分使う人がいるかもしれない。というか、ヤフー以外に今このビジネスを日本で出来る会社はないと思う。ヤフーが出来る理由は、BBのようにそのものの仕組みがマイナスでも、ヤフーが総合的にプラスであればという感覚でビジネスが出来るって所にあると思う。まあ、銀行を簡単に手放したりする会社には銀行側が色々難癖つけるだろうし、顧客情報が流出する会社には小銭でも預けたくないって心理があるかもしれないけど。