11月2日に米国大統領選挙を控えているにもかかわらず、日本のマスコミは土砂崩れ現場からの救出の美談にかなりの時間を割き、これをトップニュースとして伝えている。地震や台風など被災した地を元気付けるので意味があるのだと思っている人も多いが、ちょっと待てと言いたい。
ありもしない大量破壊兵器があるのだというプロパガンダとともにはじまったイラク戦争の最中、ジェシカ・リンチの虚偽救出劇をマスコミは大量に報道した。その裏で起こっている大量殺戮という事実から目をそむけるかのごとく。今回も、地震発生直後の防災相の「けが人はない模様」発言という政府のあまりのおそまつな情報収集能力や、阪神大震災から何も学んでない危機管理能力と初期対応をさておき、なぜかこの美談だけが報道されている。(同列に語るなという反論があるかもしれないが、あくまでもマスコミへの批判という意味では同列だ。)
あの911のあったニューヨークのお膝元のニューヨークタイムズが明確にケリー支持を打ち出したことを日本のマスコミはほとんど伝えていないように、大統領選挙が数日後に控えていることを、そして、日本にとってそれが非常に重要な問題であることを、マスコミは当然のごとく全く伝えていない。「自分達にとっては、地震や台風の方が優先だ。他の国の選挙なんて他人事でしかない。」というスタンスだ。
その考え方はおかしい。
特に、ブッシュ政権主導で進められている米軍再編問題においては、米陸軍第一軍団司令部をなぜ座間に移すのかという議論が全くなされていない。しかも、司令部が移ることで日本が抱え込む必要がないのに抱えこむことになるリスクやコストは、「テロ」の一言で簡単に片付けられている。自衛隊は単なる米軍の下請け、日本国はあくまでも米国の犬だといっているようなものだ。(どこかの外資系日本法人と同様に、上辺だけの話術だけで、優秀な頭を使われ、甘い蜜は全て吸われるパターンと全くおなじだ。)しかも、民衆は何も伝えなければ、自発的に情報を集めることもしないし、黙ってるから問題ないと完全に見下されている。
同様のことが、イラクで(米国によって組織化された)アルカイダ(らしき?)により拘束されたとされる日本人に対する報道からも端的に見て取れる。イラクで救出のためにどのような活動が行なわれているのかや、この家族の元への誹謗中傷の電話がかかっていることは全く報道せず(出来ない?)、「テロへは屈しない」という馬鹿の一つ覚えの発言のみはしっかりと報道されている。マスコミ自身が、主体性を持って取材が出来ないので、結果的にまるで我々に主体性を持って考えるということを排除しようとする政府の戦略に力を貸しているようなものだ。
ブッシュ政権のこの4年間は、アメリカの歴史上至上最低であったことは間違いない。それによって恩恵を受けた企業(ロッキードマーチンの前四半期は前期比増益率は41%、ボーイングは78%)や人はいるかもしれない。しかし、それは人間が宗教、政治、経済を超えたあるべき原則とは全く外れたところでの恩恵にすぎない。そして、その恩恵に日本が、郵便貯金をしている人が、間接的に貢献しているかと思うとぞっとしてならない。
とにかく11月2日には米国大統領選挙が行なわれる。ここで前回同様不正が行なわれる可能性は十分ある。だけど、我々は主体性を持って声をどんどんあげていくべきだと思う。日本のマスコミはヘッピリ腰かもしれないが、個人は自ら情報を集め、それについて考え、声をあげるべきだと思う。ブログとはそのためのツールとして最適だと思うので。
「No more ブッシュ、No more チェイニー、No more ラムズウェルド、No moreアッシュクロフト」