IBM:「オンデマンドコンピューティングとPC事業の両立は困難
Palmisanoはさらに、「これら2つは、ビジネスとしても、経済モデルの観点からも、全く異質のものである。数年後にはこの差がもっと大きくなる。Lenovoの方が、PC業界で大きなチャンスをつかむ良い位置につくことができる。Lenovoは、PC業界での投資やビジネス拡大、顧客獲得に責任をもって取り組んでいくだろう」と述べている。

IBMのPC事業売却のニュースがPC業界を揺るがしている。IBMに任せれば情報システムに関する全ての面倒をみてくれるというIBMのアイデンティティでもある「ワンストップサービス」の下流部分のハードウェアの提供を止めるというのだから、かなり大きなニュースである。
IBMが押しし進める On Deman ビジネスと、コモディティ化したPCとが相容れないものとなったが表向きの理由である。それに加え、PC事業は儲からないから売却したとか、下流はPC である必要がなくなったから売却したという誰もが思いつく論評は当然出てきている。
しかし、儲からないのであれば、PC事業より赤字を出している半導体事業はなぜ売却しないのだろうか?しかも、AppleのiPodや携帯電話のようなPCの代わりとなるOn Demandサービスの受け口部分との関わりをIBMが全く止めるとも思えない。
そこで、なぜ米国のPC販売企業ではなく、中国のPC会社に売却したのかを考えてみると、「事業の方向性にあわない」とか「儲からない」では説明がつかないIBMの本当の戦略が見えてくる気がする。
今回のPC事業売却は、IBMの中国戦略の重要な位置付けであることは間違いない。中国で強力な販売ネットワークを持つLenovoと組むことによる、IBMが受けるメリットは計りしれない。潜在的なマーケットの大きさ、これからの成長スピードを考えたとき、一本太いくぎを打ち込んでおく意味は大きい。しかも、低コストで。
さらに、IBMのシナリオのどこかには、将来的にPC事業を買い戻すことも念頭にある気がしてならない。IBMには、企業の情報子会社を買収して、リストラし、他のメーカーによるシステムを全てIBMにリプレースし、その部門を元の企業へ戻すといった事を、何度か繰り返してきている。IBMにしてみれば、その逆の発想もまたアリなのだろう。Lenovoに、PC事業をリストラしてもらい、コスト競争力をつけ、将来どこかでLenovoごと買収し、PC事業でもナンバーワンであることを誇示する時が来るのだという気がしてならない。
考えすぎだろうか・・・。zzz。