3月に入ってしまいましたが、バランススコアカードのことを書いて今年のテーマを終わろうと思います。あんまり難しいことは書きませんので、期待せず読んでください。
ここ最近に世の中をにぎわしているライブドアのニッポン放送の「ほぼ」敵対的買収や、オラクルのピープルソフトの敵対的買収とその後の大リストラなんかを見ていると、なんとなく違和感を感じている人は多いはずです。違和感感じることは普通だと思いますし、どちらかに肩入れするかというのも、自分がどの立場の視点でその事象に興味を頂いているかによって当然異なります。
企業の「経営」を行う最大のオブジェクティブは、企業の持続的な成長であることは間違いないと思いますが、その実現のためには、企業と関わる全てのステークホルダーに満足してもらうことが必要となります。ここ最近は、ステークホルダーと言えば株主だみたいな形でフォーカスされていますが、顧客だって従業員だって仕入先だって地域社会だって企業にとってはステークホルダーです。もし、あなたは経営者として「顧客、社員、株主のうち誰を最も大切にしますか?」という質問をされたらどう答えるでしょうか?置かれている状況、自分の信念、タイミングなどによっても異なるはずですが、「どれも大切だ。」と答えくなるというのが本音ではないでしょうか?
バランススコアカードは、そんな経営者が、企業の持続的な成長のために、ステークホルダーにバランス良く満足してもらうためのフレームワークだと考えるとやさしいかと思います。ただ、実際のバランススコアカードの使われ方はもう少し現実的で、企業のビジョンから戦略を具体化するためのツールとして、具体化した戦略を会社組織全体で共有するためのツールとして、戦略を実行し、進捗を管理するためのツールとして使われているようです。
バランススコアカードは、財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点をバランス良く追求することで、企業のビジョンと戦略を達成する点に特徴があります。財務だけを追求し、リストラにより従業員をカットし、長期的な企業競争力を失うよりも、4つの視点でバランスを取って経営をした方が、持続的な成長が可能であるということです。他にも、企業のおかれている現在と未来、内部環境と外部環境、短期と長期、強みと弱み、目的と手段、量と質、財務と非財務といったバランスも必要となります。
松下電器が、利益をあげ社会に還元することを企業の社会的責任としていますが、企業が持続するための最終目的として利益があります。そのためには、4つの視点から最終的な企業価値向上という結果を出すための、因果関係を明確にすることも重要となります。例えば、サポート部門のナレッジの向上により(学習と成長)、サポートプロセスの質と生産性が向上し(業務プロセス)、コストを大幅に削減することが出来(財務)、顧客満足度や顧客のロイヤリティが向上し(顧客)、結果的に顧客維持率が向上(し顧客)、市場シェアがあがり(顧客)、売上向上(財務)に結びつくといった感じですね。このように、因果関係で4つの視点の戦略目標をあらわした図を戦略マップとも呼びます。
最後に、スコアカードというくらいですから、経営の成績表みたいなものを作成します。バランススコアカードでは、4つの視点での戦略的なゴールを定め、それを実行するための重要成功要因、すなわち手段を策定し、その進捗をモニタリングして、戦略目標にどれだけ到達しているか監視します。ちなみに、需要成功要因を見つけるために様々なコンサルティング手法がありますが、最も有名なのがSWOT分析です。また、バランススコアカードでのモニタリングのためには、客観的な指標を策定する必要があります。指標は、定量的なものでも、定性的なものでも良いですし、しかも、なければ作れというスタンスです。
以上が、バランススコアカードの概要です。株主利益のみを追求したり、株主を反故にしたり、という経営はバランスに欠けるということが、これでもよく分かるかと思います。バランス感覚は、自分の大好きな言葉で、バランススコアカードの考え方を読んだ時に自分にぴったりの経営フレームワークだと感じました。ただ、バランスのみではなく、軸足が安定しないとバランスも取りにくいことは確かですね。