東洋経済 2006年5月13日号:
– トヨタやキヤノンは没個性的な組織だとも言われますよね。ポストの時代のイメージとがギャップがあります。
議論を整理すると、私は二つのことを言っています。これからは「人の時代だ」と書いてきたので、多くの人は「人の時代」とは「個人主義の時代」だと思ったのでしょうが、そうは言っていない。
ポスト産業資本主義は違いを生み出さなければならない。違いは人からしか生み出せない。その違いが利潤の厳選なのだが、しかし、それではすぐマネをされてしまう。そこがまさに逆説で、違いはすぐにマネされるがゆえに、個人の力だけには頼れないことになる。一発勝負的に成功することはあるかもしれないが、違いを持続的につくり出していくためには、組織の問題を無視できなくなる。
トヨタ、キヤノンが個人のレベルで没個性だとしても、組織を人格化して考えると非常に独自だということがいえます。

今週の東洋経済の岩井克人東京大学経済学部教授のインタビューはかなり興味深い内容でした。昨年のニッポン放送の敵対買収騒ぎから新聞や雑誌などで議論されてきた「会社はだれのものか?」というテーマでいつも名前を取上げられていたので、気にはかけていたものの会社はこれからどうなるのかとかを読んだことなかったので、機会を見つけて岩井氏の色んな文献を読んでみようという気になりました。会社が小さいとき、秀逸な個人の力で成長出来る。会社を安定させるためには組織の力が大切だ。会社が競争力を持ち、持続的な成長を続けるために、個人と組織を融合した力が必須だということを改めて確認。