IT業界にいる人間であれば、ITコンサルタントは年収も高く、憧れの職業・・・というのも過去の話になりつつあります。日本国内のコンサルティング業界の市場規模は、2500〜3000億円規模で、そのうち7割近くはパッケージ導入に関わるITコンサルの領域かと思います。
そんな少し前までは憧れの職業のひとつだったITコンサルタントが、なぜ「残念な職業」なのか、6つほど理由を考えてみました。
1つ目。顧客となる事業会社の情報システム部門に目的意識の高い人間はほとんどいないということ。例えば、自分自身がコンサルタントとして仕事をするとしたら、目的意識を持ったお客様が自分自身では解決出来ない課題を解決する支援をすると同時に、そのお客様の期待を超えた満足、つまりもうひとつ上の視点での満足を、提供することを心がけるようにすると思いますが、目的意識のない人の満足の基準というのは・・・と考えるだけで、モチベーションが下がります。
2つ目。ITコンサルタントは、業務改革を伴ったパッケージ導入を実施するように思われていますが、パッケージの選定基準の多くがレガシー業務のFIT率に大きく依存するという事実と矛盾しています。つまり、ITコンサルタントの言う業務改革は形骸化しており、現実は、パッケージをレガシー業務にいかに近づけるかが重要なプロジェクトスコープであることが多く、さらに病む得ない場合のワークアラウンドをソリューションと呼ぶ・・・ということを知ると残念な気持ちになります。
3つ目。ITコンサルタントの最大の食い扶持であるパッケージ導入が、企業の利益やキャッシュフローに直接的なプラスインパクトを及ぼす可能性がほとんどないということ。つまり、ITコンサルタントが活躍する業務領域は、実業からほど遠いバックオフィスのルーチン業務・・・が楽しいはずがないでしょう。この残念な現実は、6つ目の話にもつながります。
4つ目。ITコンサルタントが保有している如何にもの小槌・・・つまり、コンサルティングメソッドは、既に「海外」において開発され検証され尽くされたものであり、そのほとんどが標準化されているため、実際は脳みそを使う機会がほとんどないこと。プロジェクトのタスク、アクティビティを淡々とこなすのは、コンサルタントでなくても出来ることを知ると更に残念な気持ちになります。実は、コンサルタントの書く提案書についても同様のことが。たとえ100ページ以上ある提案書を書く事になっても、最初の2〜3ページ目を書き直せば、その他は使いまわしで十分。目的意識のない顧客が戦略的にパッケージ選定することなんてほぼないので、顧客には現行システムよりコストが削減出来る見せ方をすれば十分なのです。
5つ目。夜働く事を美徳とするということ。タイムアンドマテリアルとは言うが、成果物ではなく委任契約が基本のコンサルティング。お客さんに時間を買ってもらって生きているのがコンサルタント。効率的な知的労働を追求するのであれば、夜働くことなんて志向しないはず。だけど、顧客もITコンサルタントがインサイトを追求するようなコンサルティングを提供する人種ではないと知っているため、筋の良い人間にどれだけただ働きをしてもらうか(チャージされないであろう夜中に働いてもらうか)に賭けているだけ・・・だということを知ると「徹夜」を得意げに話すコンサルタントに会うとますます残念な気持ちになります。
6つ目。ITコンサルタントには、実はキャリアパスがないということ。プライドが高く、ルーチンワークや目的意識のない世界への転身は当然見込めません。コンサルタントは、コンサルタントにしかなれないのがあまりにも残念。コンサルタントで独立して会社をはじめてみるのもいいけど、顧客からプライムで受注出来るITのコンサルティングファームは日本でも数社だけに許された世界。せっかくだからと、会社の看板には虚勢を張って大言壮語を並べてみるのが精々。プロジェクトマネージャになるキャリア?だけど、その後もやっぱりプロジェクトマネージャ。より大きなプロジェクトでのキャリア?プロジェクトが大規模になる要因の1つは、業務の複雑性。ただし、業務の複雑性が企業の競争力の源泉となっていることはほとんどなく、逆にボトルネックになっていることも多いことを考えると、そんな複雑な業務にあわせたパッケージ導入をBPRと呼び続けるキャリアを考えるとこれまた残念な気分に。。。


そ。そんな残念な職業と知りながらも、一度位やってみても良いかと飛び込んでみたところです。

  1. chuma says:

    strongly agree!!!
    すばらしい!!!ワンダフル!!!トレビアーン!!ハラショーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー