PLM(プロダクトライフサイクルマネジメント)という言葉が最近は流行っています。特に今年は「名古屋の年」といわれているほど、朴訥と、頑固に、モノづくりを行なってきた企業が注目された年でもあります。大阪地方は、阪神ブームに沸く割にはさっぱりという経済状況でしたし、東京も不動産、そして一種の「感性」のビジネスだけが流行っている状況でもありました。
さて、このPLMですが、簡単に言ってしまうと、「企画〜設計〜生産〜販売〜保守〜生産・販売終了までの製品の全ライフサイクルを管理するコンセプト、もしくはその仕組み」です。今まで、日本の企業は良いモノをより安く市場に出すだけで売れた時代をすごしてきましたが、これからは、 魅力的な製品を、適切なタイミングで、適切なコストで市場に投入し、そのモノで収益をあげすることが求められる時代となりました。そのためには、製品のライフサイクルを最初から最後まで、組織や取引先が連携して管理しなければなりませんよというのが、PLMというコンセプトの主題となります。
このPLMを実現するためには、5つの要素があるとデロイトコンサルティングがPLM入門に書いていたので、ここにまとめておきます。それは、1.新製品開発プロセス、2.製品&技術戦略、3.リソース管理、4.評価指標、そして5.IT活用となります。
まず、「新製品開発プロセス」ですが、イノベーション、技術革新を続けるための仕組みを整えなさいということであったり、明確な意思決定システムを製品の企画・開発・試作の段階で持ちなさいということであったり、技術経営の意識を持ちなさいということがこの要素となります。すなわち、とにかく新製品を開発するためのプロセスに経営の意識を持ち込みなさいということです。
2つ目の「製品&技術戦略」のポイントですが、マーケットセグメントの魅力度、自社の市場でのポジション、製品ポートフォリオからマーケットと顧客を意識した製品ロードマップを作成しなさいということです。この製品ロードマップを持つことで、モノづくりにおいて選択集中・撤退の意思決定を迅速に行うことができるというメリットがあるという訳です。
3つめの「リソース管理」ですが、モノづくりは人抜きで行なうことはできませんから、人を管理する要素となります。モノづくりを中心としたプロジェクト単位で、スケジューリングを行なったり、リクルーティングやスタッフィングを行なったり、人材の品質管理を行なう必要がありますよということです。
4つめの「評価指標」ですが、モノづくりを行なう現場の人間全てにコストの意識を持たせなさいということです。製造業の現場で、コスト削減だ〜と騒いだところで、実際の製品のコストは、研究開発〜企画の段階で8割型きまってしまいます。時間対効果や費用対効果を設計者・企画者に意識させるのがこの要素では重要となります。
最後はIT化です。データベース化、情報共有、基幹業務との連携、レポーティングの自由化などなど、ITで出来るところがITでやりましょうというのが、この要素となります。
ざっくり読んでみると、実は製造業に限らず、どの会社でもこの5つの要素に関しては常に意識して経営を行なう必要があることが分かります。モノをサービスに置き換えてもぴったりあてはまることが分かるでしょう。
最後に、多くのソフトウェアベンダーが、「PLMソリューション」とかって言っていますが、実は「PLM」という製品はまだないということだけは、覚えておいたほうが良いかと思います。PLMはあくまでもコンセプトですし、実際、これからのコンセプトでもあります。楽しみなコンセプトなので、ここに書いておきました。