最近、「論理的思考力をつけよう」的な本が流行っている。論理的思考を身につけるためのクイズだけでなくカードゲームまでもが本屋の目立つ場所に陳列されている。そのタイトルを見ると、「論理的思考力を持ったSE」だとか、「論理的思考を持った質問力」とか、「論理的思考力の付く男の料理」とか、なんでもかんでもで、胡散臭いと思うのがいっぱいあるのだが、とにかく論理的思考力が世の中でブームであることは確かな様だ。以前、クラス論理で少し書いたが、クラス論理みたいなのも一応論理学の一部である。
で、今回取り上げるのは、「MECE」(ミッシーとよぶらしい)である。マッキンゼー社が考えたコンセプトで、「Mutually Exclusive and Collective Exhaustive」(相互に重なりなく、全部集めたら漏れがない)の略である。簡単に言うと、ある全体の事象で見たときに「漏れ」なしに「ダブり」なしの部分集合の事象に分けて考えろということである。
最近、仕事でちょっとしたコンサルティングの仕事をする上で、一つのことを熱中しすぎてフラッと忘れてしまうことが多いので反省はしているのだが、このMECEというの馴染みのない分野や経験のない分野の事象を調べたりするときに役に立つ。
自分で仕事をするときだけでなく、他人に何かを説明するときにも非常に役に立つ。例えば、ものすごく陳腐な例だが、あるレストランに来た人に紙のメニューを渡さずに、メニューを紹介しようとする。コーヒー、サンドイッチ、カレーライス、トースト、コーヒーフロート・・・と100点近くメニューを羅列されても、何のことやらさっぱり分からない。この時、まず最初に「飲み物」と「食べ物」に分類する。「飲み物」の中には、「アルコール」と「ノンアルコール」に分類する。「アルコール」は、「ビール」、「ウィスキー」、「ワイン」のように全体をツリー構造にすると、オーダーをする方にもわかりやすくなる。まあ簡単に言ってしまえば、カテゴリ分けみたいなものである。
これと同じ考え方を企業経営や、マーケティングなどでも多用する。定番の切り口としては、企業の現状分析時なんかに使う、顧客・市場(Customer)、チャネル(Channel)、競合(Competitor)、自社(Company)の「4C」、製品や商品のマーケティング戦略を考えるときに使う、商品(Product)、価格(Price)、チャネル(Place)、プロモーション(Promotion)などの「4P」などがある。
定番の切り口以外に様々な切り口をもってMECE化すると、様々な視点で事象が見えるわけだから、問題を特定したり解決したりするのに役に立つ。ビジネスの世界だと、無意識にこれが出来る人は、話は面白いし、頭が良いとされる。話し好きで長々話しをするが、結局何を言っているのか分からない人は、この辺りに意識がないということである。コンサルティングファームの人間は、この「切り口」の引き出しをたくさんもっているだけでも何億と稼げる訳である。後は、経験と吸収力だけだと思っている。仕事の出来る人間とは、「切り口」「経験」「吸収力」で分けられるって、MECEになってなかったりして・・・(苦笑)。
最近もナレッジコミュニティについて調べているときに、このMECEという意識をすっかり忘れていた。ちょっと調べたターゲットは、オープンソースコミュニティ、2CH、はてな、答えてネット、OKWEB。そこからいくつかのキーワードは羅列してみた。その後、ナレッジコミュニティを全体集合で見たときに、どうやってMECEにしようか迷って、あきらめた。今考えたら出来るのかな?


MECEを勉強するのに参考にすると良い本です。エントリ内容とは異なり、まじめにおすすめです。
著者の個人的なMECEはかなりサムイですが、それ以外は入門編としては最適です。
仮説から始めることで仕事の効率があがるということがわかる本。読みやすいけど、あまり実践的ではないかも。
さすが大前研一絶賛なだけある(ある意味で)。本としてはイマイチ。

バーバラミントのこの本は一回読んだだけでは難解です。この本自体がロジカルに書かれてないという大問題を抱えていますし、ピラミッド構造しか頭に残らないという問題点もありますが、何度か読むうちにポイントが掴めると思います。