新幹線に乗った時に「グローバルニッチトップ」と銘打った日東電工の広告を見たことある人もいると思う。日東電工の考えるニッチとは、「単なるすき間ではなく、一部分だけど欠かせない。しかも先進的。」で、しかもそれにトップが付くのだから、その市場でトップシェアを獲得することを目標にかかげている。
この日東電工の世界シェアトップの商品は12個あるらしい。リストアップすると下記の通り。
液晶用偏光板、液晶用位相差板、液晶用輝度向上システム、光半導体封止用透明樹脂、半導体洗浄用逆浸透膜、ウエハ保護・固定用テープ、磁気抵抗ヘッド用薄膜金属回路基板、電子部品搬送用テープ、熱はく離シート、自動車用塗膜保護フィルム、セラミックバーコードフィルム、ぜん息治療薬。
製品のセグメントは、電気電子関連製品、環境関連製品、自動車用製品、健康・生活関連製品、住宅・建設関連製品、包装関連製品、工業製品と分かれているが、そのほとんどが戦後すぐに量産を開始したブラックテープを元にした粘着技術がベースとなっている。
この会社の特に面白いところは、売上高に占める研究開発投資の割合が、同業他社に比較しても低い点だ。例えば、村田製作所が6.8%、ロームは6.5%に対して、日東電工はわずか3.6%(選択1月号参照)。一般的な製造業と比較してもこの研究開発費はかなり低い。新技術などを開発して世に出すときは、研究開発力、研究開発にかける資金が必要になってくるが、日東電工の場合は、粘着技術のベースを、コストをかけないで必要な産業へ「応用」しているということが分かる。
現在は、薄型テレビの普及で液晶関連粘着技術が業績を下支えしているため、業績は絶好調(売上高3787億、営業利益339億)である。2005年に営業利益550億、営業利益率12%、ROA15%を目標に順調に業績を伸ばしている。ただ、2004年連結EPS予想は175円程度で、株価は5700円とかなり織り込み済みなので、ここから買い進む訳にはいかない。ただ、HPを見ているだけでもかなり楽しめるし、かなり面白い会社だと思う。