<紙幣ばらまき>元銀行員その後 ネット株取引のむなしさ消えず
クリスマスイブ前日の昨年12月23日。元銀行員の男性(26)が名古屋市のテレビ塔からばらまいた紙幣が、ひらひらと落ちていった。1ドル札と旧100円札合わせて8000†9000枚。「その後」の男性に会うと、心境と生活に微妙な変化が起きていた。
(中略)
だが生活は「引きこもり」そのものだった。「コンピューターゲームの感覚」でパソコンに向かい、他人との会話のない日々。孤独感が募った。「自由な半面、市場から利益をもぎ取るだけで、世間に何のプラスも生み出していない。この世界に自分がいてもいなくても同じと思うと、たまらない気持ちになった」

あしかがFGで大もうけして、名古屋のテレビ塔からお金をばらまいた事件の人の気持ちは、わからないでもないな〜と思った。確かにデイトレーダーをやっていると、ヒキコモリになりやすい。コミュニケーションを取る機会は確かに少ない。
ただ、「市場から利益をもぎ取るだけで、世間に何のプラスも生み出していない」という言葉にはピンと来るものがある。実は、それがユダヤとかアメリカの金融世界全体をいいあらわしている。
最近のソトーに対する米投資系ファンドの考え方は「搾取」であり、何も生みだすものではない。簡単に言ってしまうとこういう仕組みだ。ある店頭公開をしている製造系の会社の時価総額が10億円(100万株発行で現株価が1000円)だとする。業績はなかずとばずだが、堅実経営をしているため無借金で現預金が25億円あったとする。そうすると、米投資系ファンドはこの会社に対して、1500円で買いまっせという。そうすると、現株主は1000円の価値が1500円になるため、儲けが出るため売るだろう。
しかし、投資ファンドは15億円で買って25億円の現金を手にするわけだから、丸々10億円得をするわけだ。この製造業の会社が何をしていようと、関係ないのである。これこそ、「市場から利益をもぎ取るだけで、世間に何のプラスも生み出していない」金融世界そのものである。
しかし、搾取するだけの業界の方が世間にモノとして生み出している会社で働く給与が高いのである。中小製造業の経営者のアンケートに目を通す機会があったが、「電話一本で出来る商売と、モノを実際に生みだす商売に同じ税金がかかるのはおかしい」というコメントがあった。イタイ程気持ちはわかる。日本は、モノづくりのおかげで、石油が輸入でき、もっともらしい生活ができていることを常に忘れないようにしなければならない。そして、モノを世間に提供し稼いだ金を官経由で、金融の世界へ持っていかれていることもそろそろ気が付くべきである。