Oracleという会社は、世の中のトレンドを作り出すことが得意な会社だ。今までも、トレンドを読み、それを実行にうつし、大きな成功を一つだけ収め、残りは、たとえ自社が失敗しても、業界全体では方向性は正しかったという形に落ち付いている。大きな成功とは、データベースである。一方で、例えば、ネットワークコンピューターは、トレンドとしては正しかったし、トレンドそのものの大きな流れを作り出すことにも成功したが、そのコンセプト自身でオラクルはあまり成功したと言えない状況だけが残った。当然、それにより、データベースでの収益が上がったり、リナックスブームに備えて社内のリソースを確保できたとか、オラクルとして成功と言える部分もあるにはあるのだが、その話はこの際どうでも良い。
アプリケーションビジネスは、オラクルのデータベースを最も再販してくれている会社がSAPだから、自分達がアプリケーションを売れば、もっとデータベースが売れるだろうという発想から始まった。
これまでも市場が思ったより膨らまないこともあり泣かず飛ばずだったが、オラクルは様々な「方便」を使ってこのアプリケーションを売り続けている。
E-Business Suite 11iがリリースされてからは、システムを丸ごとドーンといれるメリット、すなわち「スイート」であることをと強調してきた。「スイート」であるため、他システムとのインターフェースを作りこむ必要がないことをアピールポイントにしてきたのだ。それを力技で具体化するために、ピープルソフトの敵対買収も仕掛けたりしてきたのだ。
そのオラクルが、100%アプローチ方法を変えてきた。

スイートへの固執を捨てたラリー・エリソン
顧客らから「カスタムアプリもあるし、他社のパッケージソフトウェアも既にある」という声を聞いたエリソン氏は、「ならば、Customer Data Hubはどうだろう?」と着想したという。

(いつも同じような話しかしないラリーエリソンの講演を記事にする記者もご苦労だが・・・)、これからは、「Customer Data Hub」なんだそうだ。一時期流行ったEAIなどとは違い、さすがデータベース屋さんだ、データモデルからのアプローチらしい。具体的な中身は、インド人や中国人が今一生懸命開発をしている(オラクルとかSUNは、製品発表してから製品を完成させる・・・)ので、実際にリリースされてみないとわからないが、「E-Business Suiteはさておき」的なビジネスのやり方に変わるのだろうか?同時に、新しく就任した社長二人は、レイレーンを超えることが出来るのか?楽しみである。

  1. インフォテリア株式会社:XMLノート コラム says:

    EAI – 企業アプリケーション統合に求められる条件は?

    最近EAIというキーワードをよく聞くようになった。正確にいうと「再び」よく聞くようになった。EAIはEnterprise Application Integrationの略であり、1998年前後にも一度ITの注目キーワードとして登場している。IT業界では単に開いて読んだだけでは意味がよくわからない3…