設計・製造ソリューション展に3日間とも足を運んできました。イベント屋さんの話によるとこの手のイベントしては、ここ最近珍しい「入り」だとのこと。特に、日立、NEC、富士通、東芝が、主催社に気を使って大きなブースを開くこともなく、数多くのベンダーが大中小企業問わず、設計・製造向けのソリューションを展示しているのにちょっと驚きだった。製造業の設備投資=IT投資が伸びていることも、このイベントが活況だった一因だと思う。自分の比較対象が、閑古鳥鳴きまくりの昨年のOracle Worldなのでなんともいえないが・・・。
今までERPの世界に身を置いていたとはいえ、製造業分野は避けてきたので新しい発見が一杯だった。まず、目立っていた企業は、ネクステックインクス。どちらも今年中に株式公開をすると言われている急成長の会社である。この2社は、製造業のプロセスを徹底的に調べ上げ、それを革新的なアプローチでサービスビジネスに落とし込み、日本の製造業を支えている企業だと感じた。
一方で、裏でSAPPHIREが同時開催されているとは言え、製造業の分野でのERPの凋落は明らかであった。ERPの原点がMRPであることを考えるとかなり寂しいものがある。ある企業担当者は、「3年前ほどからある外資系のパッケージを2年かけて調査しましたが、結局使えないと判断しました。外資系のパッケージを導入すると、日本の製造業はダメになります。業務に適合しないとかってレベルではないんです。使ったとしてもダメになるんです。」製造業の現場の担当者だけでなく、現場でソフトウェアを販売している人たち、コンサルティングを行なっている人たちからも同様の声を聞いてかなり驚いた。
とはいえ、国産ベンダーのシステムが技術的に革新的かと言われると、まったくそうではないというのもおもしろい点だ。また、製造業向けシステムはかなり歴史があるの奥が深いし、古い技術を使いこなしている点がおもしろい。ちなみに、データベースはOracleがとことん浸透しているのにもかなり驚いた。サポート料が高いって不満はどこも共通だったが・・・。
一方で、昔からデモがうまいと言われているPeopleSoft社の人に製品の訴求ポイントを聞いたところ、「多言語対応」という言葉最初に出てきたときは思いっきりズレを感じた。SAPPHIREで発表されたSAP社の中小企業向けのパッケージは、財務や販売・在庫管理など、製造業のプロセスそのものは含まれていない。ということは、SAP社はPLMとはうたいながらも、設計・製造ソリューション展は自分達のターゲットしている顧客ではないと見ているのだろう。多分、それは正しいと思う。MRPからはじまったとはいえ、製造業の分野ではERPは金勘定の箱物でしかないということもはっきりしたのではないか。
とはいっても、まだまだ分からない分野も多いので色々と調査は続けていきたいと思う。