昨日から読み始めたばかりの「MOTの真髄」(日経BizTechの創刊号)。日経にしては広告がほとんどなく、しかもMOTという言葉を日経ビジネスや日経コンピューターと同等のやさしい言葉で書かれているので雑誌感覚で読むことが出来る。
ただ、内容は濃い。
技術者に対する強烈なメッセージが発せられている。技術者は絶対に読むべきだと思う。
技術に強いから日本の製造業は大丈夫だと思っている人がいたら、すぐに目をさますべきだと思う。トヨタは、品質と生産方式だけで1兆円稼ぐ企業へと成長したことは確かに立派だが、それだけでは不十分だとトヨタ自身が感じ始めている。
セイコーインスツルメント副会長は、時計で世界を席巻している間に本当に大切な時計作りのノウハウを持った人材がいなくなったと嘆き、時計市場でスイスに再逆転されたのは、マーケティングでもなく、技術力が単になくなったからだと断言している。
そして、研究所や大学で学会に論文を提出することをステータスだと思ってしまっている技術者に対する警笛も。事業家できない論文はただの紙切れだとも断言されている。



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日本で問題となっている「死の谷」。技術がわからない人間が経営を行なうとソニーのような失敗を犯す。技術が分かる人間こそが、死の谷を乗り越えられる。技術者がわかる人間こそが、事業化能力を身につけ会社経営を目指すべきだと。
自分が元々いた世界、日本人ソフトウェアエンジニアに対しても同じことが言えると思う。良い技術シーズがあるのにそれを事業化することが出来ない。仕方がないので使い勝手の悪い海外の仕組みを取り入れる。日本人はなんでもすり合わせてなんとかしてしまうのがうまいので、使い勝手が悪いものをなんとか使いこなしてしまう。だから、ITの世界はほとんど海外勢もしくはそのパクリでしか事業がほとんど成立しない。(もちろん、ACCESSみたいな会社も存在している。)
だから、ソフトウェアエンジニアの位置づけもかなり低くなってしまう。今のデジタル家電を支えてるのは、日本人ソフトウェアエンジニアのすり合わせ、埋め合わせ技術であるにもかかわらずだ。一生懸命働くエンジニアには申し訳ないが、日本人ソフトウェアエンジニアの技術力が本当に高ければ、ソフトにも付加価値をつけてどんどん海外に出して稼ぐべきだと思う。今は、単に輸入して吸い取られているだけではないか?そうすれば、ソフトウェアエンジニアのステータスも上がるはずだし、給料ももっともらえるはずだ。グローバルに使えばという輩もいると思うが、個人レベルでは正しいが、日本という国で考えれば、外にモノを売って資源を買わざる得ないのだ。
話は少しずれたが、研究者やエンジニアの人はこの日経BizTech創刊号、是非読んでもらいたい。

  1. ケンヂ says:

    はじめまして。「PLM 日記」という検索で、過去の日記にたどり着いてきました。
    私は現在20代後半に突入したところですが、kioさんは30台前半でここまで知識とかロジックを持っているのはすごいなとおもうのですが、普通なんですかね。。。
    今後も立ち寄らせていただきます。すんません、取り留めのない文章で。

  2. kio says:

    コメントありがとうございます。
    なんとなく思ったことを書いてるブログなのでその時々によって言ってることが支離滅裂だったりします。もう少し考えてからエントリを書けばいいのにといつも思ってます。
    これからも駄文ばかりですが、宜しくお願いします。