昨日と同様、少し前のJNEWSの記事で「目減りするeコマースの利益率」というテーマがあった。楽天などはその規模や収益に比較して、かなり高い株価をつけられている。ここ最近上場したeコマース系の会社も成長率をベースにかなりプレミアムのついた株価になっている。
株価にプレミアムがつくとかなり有利な状態で資金調達することが出来る。そして、調達した資金を使い魅力的な企業を買収する。買収した企業の利益により、全体としてかなりの利益成長が加速されたと投資家は感じる。そして、また資金調達をし、買収するという流れだ。
その最たる会社が楽天だ。下記の数字はJNEWSに掲載されていた楽天の四半期の事業別営業利益だ。EC事業の利益を買収したマイトリップとDLJの数字を足し合わせた利益が上回っている。
《楽天の事業部門別の営業利益(平成16年1月〜3月の四半期)》
・EC事業……………………………………1,405百万円(41.5%)
・ポータルメディア事業……………………322百万円( 9.5%)
・トラベル・エンターテイメント事業……442百万円(13.0%)
・金融事業……………………………………1,214百万円(35.9%)
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全体の営業利益……………………………3,385百万円(100%)
つまり、楽天は本業が急速に伸びた訳ではなく、プレミアムがついた株価で調達した資金をより利益率の高い事業を行う会社を買収することで、楽天全体の利益をおしあげたということになる。
事実、EC事業だけの営業利益率や利益の伸び率は、当時の株価収益率の1000倍近く評価されるレベルのものではなかった。ただ、ネットバブルがあったので誇大評価され、そこで得た資金を使って買収買収という形になっただけなのである。実はそれが今の楽天の姿であり、結果的に今評価されている楽天は全て抱えた状態の楽天であり、EC事業そのものが評価されている訳ではないようだ。
アマゾン社の利益率は約5%なんだそうだ。リアルの小売りの利益率が2%前後なので、ネットの世界では多少良いといったレベルである。楽天は場を提供しているだけだからという話もあると思うが、実はリアルのデパートも場を貸しているだけだ。あんまりかわらない。実は、ネット証券のようトランザクションが勝手に発生したり、ヤフオクのようにコンテンツも自動的に取引されるような自動販売機ビジネスを楽天もやりたくて仕方がないのだ思う。
さらに昨日の続きでもあるが、楽天はのれん代消却したりして赤字決算とすることで、税金も払っていないし、運というはやっぱりつかみつつ、資本論理を上手く適用させるってのもビジネスをやる上で、重要なことだと思う。