日本の観光地に行くとがっかりすることが多い。せっかくの自然の風景をぶち壊すような看板、箱ものだけは立派で中身が全く伴わない博物館、さびれた駅前のおみやげ屋、観光地近くの便乗駐車場しかりだ。そう、日本の観光地は、せっかくの綺麗な街並みや風景だけでなく、訪れる人の気分までもを見事にぶち壊してくれる。
宿泊施設は旅行する時の楽しみのひとつだが、日本を旅するときはあまり期待出来ないことが多い。和風の落ち着いた民宿や暖かいおもてなしをしてくれるペンションもポツポツあるようだが、大多数はサービスを出来るだけ排除し、かつ値段を下げて人を集めているような状態だ。それは、ホテルであれ、旅館であれ、民宿であれ、同じだ。
そんな中、小布施や、星野リゾートの取り組みは、面白いし、興味深い。

株式会社星野リゾート代表取締役社長 星野佳路氏
たとえば、ピッキオの自然体験に参加される方は、連泊される方も増えてくるでしょう。ところが、従来の日本の温泉旅館のシステムでは、食事をとろうと思っても、いつも同じボリュームで、同じメニュー。これで1週間泊まれというのはとうてい無理。体をこわしてしまいます。ですから、たくさん召し上がっていただく日、軽食にする日など、食事を自由に選んでいただいて、バラエティのある食を味わってもらうことが大切だと考えているんです。

今後、所得が二極化するのと歩調をあわせて、宿泊施設も最高級か安宿としかなくなるというのはあまりにも寂しい。非常に多くの日本人が、リーズナブルな価格(ちょっとだけの贅沢)で海外のビーチや避暑地で羽を伸ばした経験を持っているはずだ。少なくとも、日本でも同じことが出来る場所があっても良いのではないか?逆に、アメリカ系の高級ホテルばかりではつまらない。「日本ならでは・・・」もきっとあるはずである。
ちなみに、ハゲタカは日本の観光産業のポテンシャル(+バブルの遺産と減損会計の仕組みを利用して)へてこ入れを行なっており、徐々に投資の回収フェーズに入ってきている。ただ、日本の観光産業は、再生というより観光そのもののあり方を含めて一から作っていかなければならいない。そういう意味では、まだまだこの産業に関しては未成熟だし、今後チャンスもポテンシャルも十分あると思う。