Wの衝撃
今年7月、1年1カ月もの間中断していた北朝鮮の核問題をめぐる第4回6カ国協議が再開され、現在は第5回6カ国協議の休会中となっている。拉致問題解決に向けた期待も高まるが、悲しくも国際政治の冷酷な現実がある。
タングステンにはドロドロとした日本をも巻き込む歴史的な因縁がある。実は北朝鮮はこのタングステンの潜在的埋蔵国として知られている。(中略)スウェーデン語で重い石の意味を指すタングステンは、貫通力を高めるための弾芯として1940年代半ばから戦車砲や戦闘機の機関砲などに使われてきた。(中略)現在の米国は弾芯に何を使っているのだろう?(中略)この新弾芯が大量に実戦使用されたのは1991年の湾岸戦争である。以後、95年のボスニア紛争、99年のコソボ紛争、2001年のアフガニスタン攻撃、そして03年のイラク戦争でも使われる。(中略)これが劣化ウラン弾誕生の裏側である。劣化ウランは、タングステンと比べて「核のごみ」という性質上、極めて低コストである。
(中略)
これに対して米国は劣化ウラン弾への非難の声を黙殺し、朝鮮半島の再民主化を大義名分にレジーム・チェンジ(体制変更)に向けた対北朝鮮工作を行いながら、新たなW計画を発動するのである。

メディアでは、北朝鮮といえば拉致問題というような伝え方をしないが、実は劣化ウラン弾の弾芯として使われるタングステンという鉱物資源をめぐって激しい政治的な駆け引きが繰り広げられているというかなり興味深い話。それに絡む日本の政治家の発言や面子に注目しておいた方が良い。劣化ウラン弾もどんどん使うアメリカ合衆国。えぐい。