日本には、北は北海道から南は九州まで、その地方特有の食べ物というものがある。盛岡地方の冷麺、名古屋地方の味噌かつ、広島地方のお好み焼き、徳島地方の讃岐うどん、福岡地方のとんこつラーメンなどがその代表的なものだ。
東京地方にももちろんある。そのいくつかは、18歳当時、岐阜から上京した田舎モンの自分が「見て」&「食べて」かなりショックを受けた。多分、東京地方の人は意識せずに食べているだろうから知らないはずなので紹介したいと思う。
一つ目は「もんじゃ焼き」。
上野のアメ横で初めて食した「もんじゃ焼き」は忘れられないトラウマだ。当時、お好み焼きはもちろん知っていたし、大好きであった。が、同じような材料で、シマリのない焼き方をした「もんじゃ焼き」の出来上がりの見た目にショックを受けた覚えがある。
しかも、そのもんじゃの店、なぜか客でいっぱいで、自分で焼くはずが、店のおばさんにせかされ、勝手に焼かれた上、とっとと食って出て行けという態度も、もんじゃという文化に嫌悪感を覚えた理由でもあった。結局、フォーク(箸ではない)で焼きあがった固まった部分をつつき、金を払ってその店を出た記憶がある。今も、月島のそばに住んでいながら、何もメリットを感じていない。
二つ目は「つけ麺」である。
山手通りと早稲田通りの交差点で初めて食した「つけ麺」も忘れらないトラウマだ。東中野駅の近くに一人暮らしをしていた自分が夕食時にふらっと一人で入った中華料理屋のメニューにその「つけ麺」があった。お店の看板メニューでもあったので、何気なく頼んでみた。出てきたものは、ラーメンとラーメンのスープが単に別々に出てきただけの代物。しかもラーメンが微妙にぬるいのである。
ラーメンとスープを分ける理由は全くわからなかった(未だにわからん)。なんといっても、アツアツの麺をなぜまずい水道水でゆすいでいるのかわからない。まずい水道水がからんでぬるくなった麺をスープにつけると、当然スープの温度もさがってぬるくなりまずくなる。単なる悪循環じゃないか?その後、別の店でもチャレンジしてみたが、印象は全く変わっていない。どちらも、すばやく普通のラーメンの形にして食べた。
もんじゃ焼きとつけ麺。もちろん、岐阜にはない。「チバラギ」や「カナガワ」にあるのかもしれないが、自分にとっては東京で初めて見た「東京地方特有の食べ物」である。
確かに、東京にはおいしい食べ物がいっぱいある。ただ、自分が知ってる限り、東京地方「特有」のもんじゃ焼きとつけ麺は、あまりいけているとは思えない。